君の音
「なんで?
なんで、あきらめるの?」
(私は聞こえないんだよ?
昔、好きだった曲も
風の音も…波の音も
色んな色んな音も
もう、思い出せない。
トオルさんの声も!
ギターの音も!聞こえないんだよ!?)
「……」
(きっと嫌いになるよ?
なんで聞こえないんだって…
私と一緒に居ると
周りからも同情の目で見られたり…いやな思い、いっぱいする!)
「それでも好きだ。
一緒に居たい。」
泣いている彼女を腕の中に引き寄せ強く抱きしめた。