君の音
「好きだ」
彼女の耳に唇を寄せ
振動を伝えた
驚いて顔をあげる彼女に
もう一度ゆっくり伝えた
「す き」
今まで…彼女は
どれだけの事をあきらめてきたのだろう。
泣いて、泣いて、
どれだけ我慢してきたのだろう。
「ミズキちゃん。
たしかに、聞こえないかも知れない…
でもさ…伝えることが出来るのは音だけじゃない。
字も、
表情も、
手話も、
振動も…
ほかにもいっぱい伝えることは出来るんじゃないかな?」
(本当に…本当に私でいいの?)
「フフッ、俺でいいの?」
(…もう!)
「俺と付き合ってください」
(うん。
…ありがとう。)
そっとキスをすると彼女は真っ赤になってうつむいた