図書物語





昨日見たのは、横顔




でも、今日は見えるのは正面






動くたびに、やわらかく揺れる黒い髪





白い肌





薄茶色の瞳






ああ、どうしよう




体が、動かない






早く動かなければ変に思われてしまうのに、どうして動いてくれないんだろう。





まるで石になったようにかたまってしまった体は、私の意識など無視してあの人を見つめ続ける。








< 14 / 71 >

この作品をシェア

pagetop