図書物語





通路の真ん中で動かないで佇む私に、彼はちらりと目線を向けた。





目がばちりと合って、さらに体が固まる。




彼の形のいい唇が開いて、声を発した。





「すいません、通させてもらっていいですか」





少し低く、でも、透き通るような声。




きゅん、なんて変な効果音が私の中のどこかから、体中に鳴り響く。






ああ、もう、なんでだろう。



この人はなんでこんなに私のツボにくるんだろう。







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