図書物語
彼と目が合った。
ばちり、なんてものではなく、ばっちーんと。
一気に顔に熱が集まるのを感じた。
胸が、どきどきと煩く高鳴って、この静かな館内に響いていないか心配になる。
私はどうすればいいのかわからずに、ただこの場から逃げ出したい一身で走り出そうとした。
が、サンダルなのを忘れていた。
このサンダルが、それはもう安物の滑るサンダルなものだったから、私は見事に床とキスするはめになった。
私が転ぶ際に、彼の横にあった白いワゴンに体が少し当たってしまったらしく、がたーん、と大きな音をたててそれが倒れた。
それと同時に、ワゴンに積まれていた本を、私は、ばさばさと頭からかぶるはめとなった。