図書物語




泣きたい。




そして、消えたい。




こんな、漫画みたいなヘマをするなんて、恥ずかしくて泣きたくて、消えてしまいたい。





きっとあの司書さんは、いきなり逃げ出そうとして転んで、ワゴンまでぶった押して、本に押しつぶされている私に呆気にとられているだろう。





いや、不審者だと思っているかもしれない。



そう考えると、本当に泣きたい。




そして、消えたい。




「大丈夫ですか。怪我、ないですか?」




ふいに、上から労わる様な優しい声がして少し頭をあげると、頭の上にのっていた本がばさりと床に落ちた。







< 21 / 71 >

この作品をシェア

pagetop