図書物語
立ち上がったさいに、ずきりと膝に痛みが走ったので見てみると、擦れて少し赤くなっていた。
いやいや、まて。
それ以上になんだこの本の散らかりようは。床にぐちゃぐちゃじゃないか。
こんなこと誰が、って、私でした。
「あの、ごめんなさい。本をこんなに散らばしてしまって……」
もう、逃げたいし、恥ずかしいし、申し訳ないし、踏んだり蹴ったりな一日だ。
ぺこぺこと頭を下げていると、小さく押し殺したような笑い声が聞こえた。