図書物語
「あ、それ……」
やっと笑いが止まったのか、司書さんが声を発した。
司書さんを見ると、彼の視線は私の足に向けられていた。
なんでだろう、と思って自分の足を見ると、膝から血がぽたりと垂れていた。
ああ、さっき転んで赤くなっていたところだ…、と他人事のようにぼんやり思った。
それにしても、図書館みたいに静かでゆったりした場所に血の赤色って、なんか不釣合いだなあ。
と、急に手を引っ張られた。
「手当てするから、来て」
ぐいぐいと司書さんに引っ張られて行く。
うわ、手を繋いでるよ私達。
ど、どうしよう。
男の人と手を繋ぐなんてしたことないから緊張する。