図書物語
かちこちに固まった私をよそに、司書さんは小さな部屋に私を入れて、すぐそばにあった椅子に座らせた。
そして、どこからか救急箱みたいなのを持ってきて、私の足下にしゃがんだ。
少し触るよ、と言われてどきりとした。
別に治療のために触るだけで他意はないのはわかっているけど、触るって単語に何だか変にどきどきした。
消毒液を真っ白で清潔そうなガーゼにたらすと、ぴとりと傷口に当てられた。
少し傷がずくりと痛んで眉をひそめると、痛い?と下から彼の心配そうな顔に覗き込まれて、本当に心臓が止まるかと思った。