図書物語
「ち、違います!高校生っ、高2です!」
そう叫ぶように言えば、彼が目を丸くさせた。
え、私ってそんなに子どもっぽいのか。うん、けっこうショックでかい。
「嘘。高校生って知ってた」
ショックで俯いている私の頭の上から、やわらかな声がおちてきた。
「覚えてないかもしれないけど、少し前にここの近くの高校の制服を着てる君とすれ違ったから」
からかってごめん、君の反応が面白くて。
そう言って彼は、ふわり、とあんまりにも優しそうに笑うもんだから、何故だろう、胸がいたくていたくて、涙が出そうになった。