図書物語
第2章
動揺
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「おーい、木ノ下さん」
名前を呼ばれてはっと、した。
「あっ、はい、な、何ですか」
声が発せられた方に目を向けると、呉夜さんがいた。
さっきまで本を棚に返す作業をしていた彼は、もうその作業が終わったのか、私が座っている長机の反対側に座っており、こちらを見ていた。
彼の背後にある、図書館の大きな窓。
外には枯れ葉がくるくると舞っていて、
あの、ジリジリと暑い
あの、彼と出会った夏の記憶から、急に現実に引き戻された気がした。
「何ですか、じゃないよ。急に黙りこくって、話しかけても反応ないし」