図書物語




少し不貞腐れたような声でそう言った彼と、視線が重なる。




私は、恥ずかしくなって目を逸らしてしまいたくなる。



でも、逸らせない。



なんだろうこれは。




体のどこか深いところで、まるで本能のように、ずっと彼を見ていたいなんて想いが湧いてくる。




ああ、もう。なんだろう、本当に。




誰かを好きになるのって、こんなに甘ったるくて、理性もきかなくなるものなのだろうか。






< 36 / 71 >

この作品をシェア

pagetop