図書物語
呉夜さんも何も口を開かない。
いつも静かな館内だけれども、いつもよりもっと、もっと静かに感じる。
ああ、もう。
お願いだから、呉夜さん、なんか言ってくれないかな。
沈黙が重い。重いし、気まずい。
でも、もし、私の気持ちが伝わってしまったとして、それを拒まれたらどうしよう。
きっと、もう、呉夜さんには会えなくなってしまう。
それは、それだけは、
いやだ、こわい。
そんなの、かなしい。
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