図書物語




呉夜さん






昨日の彼との出来事を思い出して、眠れなかった。





少し赤く染まった頬



茶色がかった瞳



「…気をつけて」と言って手を上げた後ろ姿





目を瞑るたびに、何度も何度もその映像が頭の中で繰り返し再生された。




もう限界だ、と眠さがピークを増すたびに、その映像はより細かく、鮮明になって私を侵食していった。






眠ってなんか、いられなかった。





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