図書物語





キッチンにはまだ誰もいなかった。



おじさんも、おばさんも、まだ夢の中にいるんだろう。




私はお世話になっている身ゆえに、それを配慮して物音をできるだけたてないようにする。




コーヒーの粉末が入ったびんから、スプーン一杯分の量をとりだしてカップに入れた。




ポットのお湯をそそぎ、角砂糖をひとつぽとんといれ、からんからんとかき混ぜる。





コーヒーは苦手で、普段はあまり飲まないけれど、眠気覚ましに一役かってくれるだろう、と思いごくりと飲む。







…砂糖入れても苦い。





< 59 / 71 >

この作品をシェア

pagetop