図書物語
「あれー?さくらだ。おはよー。いつも遅いのに、今日は珍しく早いね」
そう私に声を発したのは、私が1番気が合っていつも一緒にいる、亜美だった。
今日の1番のりの人は、どうやら彼女だったらしい。
彼女は窓際の自分の席に座っていて、机の上に置かれたスクールカバンに両腕をのせ、視線だけこちらに向けていた。
「おはよう。亜美こそ、いつもこんな早く来てるの?」
私がそう聞けば、眉を下げて困ったように少し笑い、顔をこちらに全部向けた。
「そ、それ…」
驚いて言葉が出てこなかった。