図書物語
私が何度も問いかけても、亜美は口をきゅっと結んで答えようとはしない。
ああ、きっと、また…
「……お母さんにやられたの?」
そう聞くと、彼女の肩がびくりと揺れた。
「やっぱりそうなんだ…。すぐ気づいてあげられなくて、ごめんね」
ぎゅっと亜美を抱きしめると、彼女の体は小刻みに震え、嗚咽がかすかに聞こえた。
「ね、今日はもう帰ろうか。今なら生徒もまだ全然登校してないし、先生もあんまり来てないみたいだし、気づかれないよ」
私がそう言うと、腕の中にいる亜美が、ばっと顔を上げる。
そして、ぶんぶんと顔を横にふった。