図書物語





かたり





ずらりと並ぶ本棚を見ていると、小さな音が聞こえた。





その音に後ろを振り向くと、男の人がひとり立っていた。





いつからいたのだろうか。





本探しに夢中で気づかなかった。





男の人の傍には白いワゴンがあり、彼はその中から本を取り、棚に返していくという作業をしていた。






白いワゴンは、本の山。






その沢山の本を、彼は白い手袋をした手で、ひとつひとつ丁寧に棚へ返してゆくのだ。






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