えんげーじリング
「はい、どうぞ」
車へと案内してくれた先生は
あたしを助手席に
すわらせた。
先生の車は黒の軽。
シンプルでスマートで、
先生らしい。
車のなかには、
ティッシュケースが一つと
クッションが一つ。
「んじゃ、俺ん家行くかっ!」
「あはは、なんで
そんなに嬉しそうなんですか」
先生はなんだか
ウキウキしている。
かわいいなぁ。
キュンッ
今の音は何っ!?
あたしはまだ
自分の心の変化に
気づいていなかった。