恋〜ウンメイ〜
「よっ大地!!」
そう言って肩に腕をまわしてきたのは由佳ちゃんの兄であり、俺の親友でもある、雪森悠。
悠は俺のことを何でも知っている。
未歩と血が繋がってないことも俺が未歩を好きだと言うことも。
「ほんま未歩ちゃん可愛えーなぁ!由佳のポジション羨ましいわぁ〜!いや、大地のポジションの方がいいかもなぁ〜!」
実は悠の奴もちょっと未歩に気があるらしい。
「言っとくけどなぁ俺のポジションは結構辛いぜ!」
「んなことわかってるって!ってか未歩ちゃん俺にちょうだいよ!」
「はぁ!?絶対にやらねぇ〜!」
「言うと思った。ほんま未歩ちゃんのこと好きやなぁ〜」
「バカか!声でけーよ!」
「まぁなんも知らん未歩ちゃんにとっちゃかわいそうやな!ほんまの事教えんのか?」
「教えんのが怖いんだよ!アイツ…どっか行っちまいそうでさ…。」
本当はすごく言いたい。
言ったら俺にだって可能性はあるしいろいろ楽だし。
こんなに考えなくて済むし。
でも今それを聞いて一番辛いのは未歩だろう。
何も知らないで今まで過ごしていたアイツにとっては今俺が気持ちを伝えられない辛さよりもずっと辛い想いをするだろう。
だから何も言えないんだ。
教えることが出来ないんだ…。