恋〜ウンメイ〜
その人は私に似ていた。
だからつい“お母さん”って言ってしまった。
本当にそうかだなんてわからないのに…。
「…未…歩…?」
その人は私の名前を呼んだ。
「そっ…そうだよ!私……未歩。」
その人は持っていた荷物を落して私に向かって走ってきて強く、強く抱き締めた。
抱き締めてくれた時、私…このぬくもりに匂い、知ってるって思った。
「本当に…本当に未歩なの…?」
その人は涙を流していた。
「そうだよ。……お母さん…。」
その人は私が“お母さん”って言ったから驚いていた。
「未歩……どうして…!」
「全部聞いたの。真実を全て。」
「そうだったの。…ごめんなさい……本当に……。」
「いいよ。もう大丈夫だから。お母さんに会えてよかった。」
「未歩!」
また強く抱き締めてくれた。
やっと出会えた、本当のお母さん。