恋〜ウンメイ〜









その人は私に似ていた。


だからつい“お母さん”って言ってしまった。


本当にそうかだなんてわからないのに…。








「…未…歩…?」


その人は私の名前を呼んだ。



「そっ…そうだよ!私……未歩。」



その人は持っていた荷物を落して私に向かって走ってきて強く、強く抱き締めた。



抱き締めてくれた時、私…このぬくもりに匂い、知ってるって思った。




「本当に…本当に未歩なの…?」


その人は涙を流していた。



「そうだよ。……お母さん…。」


その人は私が“お母さん”って言ったから驚いていた。



「未歩……どうして…!」



「全部聞いたの。真実を全て。」



「そうだったの。…ごめんなさい……本当に……。」



「いいよ。もう大丈夫だから。お母さんに会えてよかった。」



「未歩!」




また強く抱き締めてくれた。








やっと出会えた、本当のお母さん。








< 125 / 207 >

この作品をシェア

pagetop