恋〜ウンメイ〜









「お母さんにはお兄ちゃんがいたの。
でもお兄ちゃんはこの世にはいない。
お兄ちゃんには奥さんもいたし一人息子もいたの。」



そっそれって……。



「もう分かるわよね。大地君の両親なの。」



そうだったんだ。

お兄ちゃんのお父さんはお母さんのお兄ちゃんだったんだ。


ってことは……
「お兄ちゃんと私っていとこってことだよね?」



「そういうことになるわね。」



そうだったんだ。




「お母さんね、秋江を助けたかった。お母さんと秋江は友達だったの。

一人になった秋江が可愛そうで見ていられなかった。
お父さんも同じことを思っていたらしいの。
お父さん、誠司さんとお兄ちゃんは親友だったから。

二人で話し合ったわ。

お母さんだって誠司さんと離れたくなかった。
いまでも愛しいと思う。

自分を犠牲にしてもいいと思ったの。
その頃の私達は若すぎたのよね。」



「お母さん……辛かったよね。」



「でもね、海斗も未歩もいた。だから幸せだったのよ。

途中で未歩は誠司さんの方に行っちゃったけど、
『どうしても美恵子との繋がりが欲しいんだ。』
って言われた時すごく嬉しかったのを今でも覚えてる。

誠司は本当に優しい人だから。」







< 127 / 207 >

この作品をシェア

pagetop