恋〜ウンメイ〜
「お母さんにはお兄ちゃんがいたの。
でもお兄ちゃんはこの世にはいない。
お兄ちゃんには奥さんもいたし一人息子もいたの。」
そっそれって……。
「もう分かるわよね。大地君の両親なの。」
そうだったんだ。
お兄ちゃんのお父さんはお母さんのお兄ちゃんだったんだ。
ってことは……
「お兄ちゃんと私っていとこってことだよね?」
「そういうことになるわね。」
そうだったんだ。
「お母さんね、秋江を助けたかった。お母さんと秋江は友達だったの。
一人になった秋江が可愛そうで見ていられなかった。
お父さんも同じことを思っていたらしいの。
お父さん、誠司さんとお兄ちゃんは親友だったから。
二人で話し合ったわ。
お母さんだって誠司さんと離れたくなかった。
いまでも愛しいと思う。
自分を犠牲にしてもいいと思ったの。
その頃の私達は若すぎたのよね。」
「お母さん……辛かったよね。」
「でもね、海斗も未歩もいた。だから幸せだったのよ。
途中で未歩は誠司さんの方に行っちゃったけど、
『どうしても美恵子との繋がりが欲しいんだ。』
って言われた時すごく嬉しかったのを今でも覚えてる。
誠司は本当に優しい人だから。」