笑顔 -電車での出逢い-

「たかしたちにはなんか適当に言っておくし…ね?」

ニコッとして言う香菜実

でも…

『でも…彼のとこに行ってどうすればいいの?』

そうだよ。

行ったって何にも出来ない…。

彼のことなんて何1つ知らないんだから。

名前も年齢も…。

逆に行ったらヘンに思われちゃうよね。

誰この子?みたいに。

「麗菜みてみなよ?彼の席」

『え?』

香菜実に言われた通り彼の席に目を向ける…

「アレは確実に合コンよ!!そして、今の彼の状態を見ると帰りたいのに帰れないみたいだし…」

『そうかなぁ?』

「そうだよ!!絶対にそうだし!!」

確かに鞄を持って何か友達に言っている…。

そして彼の隣の女の子は彼の腕に

自分の腕を絡めると何か言っている…。

彼はそんな女の子に困っている様子…

「麗菜!!早く行って来なよ!!」

『え?でも…』

「彼…どうみても困ってるじゃん?麗菜が彼女のフリかなんかして彼を帰らしてあげるのよ!」

私はそれでも戸惑う…。

だって…彼からしてみれば全く知らない人なのに…。

私が助けるってヘンじゃない?

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