笑顔 -電車での出逢い-
「さっきはありがとうな?まじ助かったわ!!」
喫茶店を出てしばらく歩いた所で
くろべ君は私にそうお礼を言った…
『いえ別に…大したことしてませんから…』
薄い笑顔を向けてそう言う私…
「いや本当に助かった!!どこの誰か知らないけど良い奴だな!!!キミ…」
ズキッ
“どこの誰か知らないけど”
くろべ君の言葉が胸に突き刺さる…
私はどんな顔をしてたのだろう?
私の顔を見て不思議そうな表情を浮かべる彼
『そうですよね…知りませんよね…私のことなんか』
震える唇でそう言った…
「えっ?あの…キミ大丈夫?俺なんか変なことと…?」
そう言って口元を手で押さえる彼
『いえ!!なんでもないです!!それじゃ!!私はここで。』
無理に笑顔を作って言った後すぐ彼に背を向けて歩き出す…
今、私はどんな顔をしてるのかな?
きっと呆れちゃうくらいに情けない顔してるよね
私は下を向いて家路へと歩いて向かっていた…
夕日が沈むみたいに私の気分も沈んでく…
何にもできなかった。
ただ彼を合コンから抜け出させてあげることしか
できなかった。