Magical Moonlight

それからのこと

それからのことは、あたしにはわからない。

だけど、遠いところから、あの後の光景を見た気がする。


警察が来た時、その現場には、1人の青年と、1匹の犬が横たわっていた。

女は、警察に、青年を刺した女性の説明をしていた。

でも、その女性が見つかることはないだろう。あれは、人間になったあたしだったのだから。

そして、事件は迷宮入りすることになる。


自分の飼っていた犬が死んでいたという話を警察に聞かされたご主人様は、ひどくショックを受けていた。

「キャシー、最近は全然外に出ようとしてなかったのに…。どうやって外に出たのよ!誰よ、キャシーを殺したのは!」

そう言って、警察の人に泣きついていた。


あたしは、自分のしたことを後悔するつもりはない。

だけど、…これも、月の魔力の一種なのかもしれない。


そして、彼。

彼は、あたしのそばにいてくれる。

「生まれ変わったら、一緒にいてやるよ、キャシー」

そう言って、あの笑顔で、微笑んでくれる。


結果的に、彼を手に入れることはできた。

あたしは、それだけで、十分だ。

あのまま、犬として生きるよりも、この方が、何倍も、何十倍も、幸せだから。
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