Magical Moonlight
 その瞬間!


 杉峰君の体が、満月の光に反応して、金色の光に包まれた。何かが、その中で、変化していく。

 光が消えた時、そこにいたのは…アンタレスじゃなかった。1頭の、ライオンだったんだ。


 ライオンは、大きな声で吠え、自分に向かってきた人を片っ端からなぎ倒していく。そして、私の腕をつかんでいた人を殴り倒し、リーダー格の人に爪を立てた。

「ひぃ〜〜〜!」

 リーダー格の人が頭を抱えると、ライオンは爪を収め、一声吠えた。

 ライオンの体が光に包まれて、…そこには、杉峰君が立っていた。

「先輩だろうと、容赦しない。俺を怒らせると、どうなるかわかっただろ。とっとと失せろ!」

 彼の、その姿からは想像もできないような声で、杉峰君はそう叫んだ。

「た、退却だ!」

 不良たちは、怯えるように、その場から逃げ出していった。

 私は、そこにいる杉峰君を、ただ呆然と見ていた。


「…どうしたんだ?」

 杉峰君が、声をかけてきた。いつも通りの彼だ。

「杉峰君こそ、どうしてここに?」

「おまえが、助けを求めているような気がしたんだ。それに、伝えたいことがあったから」

 …伝えたいこと?
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