薔薇乙女〜Rozen Maiden〜
10人の生きた人形
硝子の割れた窓から冷たい風が吹き込んでくる。だが、その程度の事は気にしてられない。
床に正座に座る羅雪を余所にトランクからマイカップを取り出した荊は小さな硝子テーブルにそれを置いた。

「話す前に紅茶が欲しいわ。種類は問わないから美味しく煎れて来て頂戴」

「はいはい、分かりました」

自分が緊張し待っていたのに、と脱力しながら立ち上がり一階へ降りキッチンへ向かう。広いダイニングキッチンに入り、手慣れた様子で紅茶缶を取り出す。
香ばしい匂いに包まれて作業をこなした。完璧と言える程、手順通りに紅茶を煎れた。
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