\how to love/
「気付くの遅ぇんだよ!」
樹くんはそう言うと笑って淳哉くんの頭をポンと叩いて、私を見た。
「早川、さっきの全部嘘だからな?」
二カッと笑う樹くんの歯はとても白く輝いていた。
「え…?」
「ホント、世話やけんのなんのって」
"じゃ、邪魔者は退散するな!"
そう言うと樹くんは階段を降りていった。
「…愛…、」
「淳哉くん…」
「帰ろっか」
「…うん」
そのまま、階段を降りて昇降口に向かった。
何も言葉はなかった。
ただ、繋がれた手は離れることはしなかった。
遠かった距離は少し埋まった気がした。
心が、温かくなることを、初めて知った。
初めて"好き"と言う言葉を意識した。