スノウラビット
クリスマスの今日、横浜にもカップルが溢れかえっていた。


由香里の手をしっかりと握って、俺は由香里に全てを任せた。


由香里は最初から行くところが分かっていたみたいに、躊躇なく俺を連れまわした。


でも、由香里が笑っていて楽しそうだったから、俺も楽しかった。


中華街で夕飯を食った俺たちは、山下公園を散歩した。


「夜景、きれいだね。」


由香里の方がキレイだけどね・・・って言いたかったけど、そんなくさい台詞は自分のキャラじゃない気がした。


俺らは足を止めて、しばらく夜景に見入っていた。



俺は、由香里が寒いと思って、肩を抱いて、由香里の体を少し寄せた。


急に震えだした由香里の体。


由香里の顔を覗き込むと、この前と同じ、目に涙をいっぱいに溜めて泣いていた。
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