太陽の宝石
一方、その頃の陽太朗はぶつぶつ文句を言いながら早足で歩いていた。
「ったく…だぁ〜れが日本で3本の指に入るぐらいの女たらしだっつうの。んなワケねぇだろっ!あ〜歪むわ〜…。」
…今ここに光太朗がいたら、さっきからその「歪み」とはなんなんだとツッコんでいただろう。
「あ〜!もう最近はストレス溜まりまくりだな…。」
このイライラをなんとか解消できないか。
うーん…駅前行くのはダメだな…
暑すぎる。
あっ!!市民プール!……って、水着持ってきてねぇから無理か…。
図書館…涼しいけどキャラじゃねぇな。
第一、本は好きじゃないし。
あとは…ナンパかな!!やっぱり。
…でも時期的に彼氏持ち多そうだな。
まぁ俺様にかかれば彼氏いたって関係ないけど♪
……ん?待てよ。
彼氏持ち→可愛い(そうじゃない場合もあるけど…)→余り→ブス?って必然的になるのか!?
いや、それはさすがに嫌だ。
キング・オブ・女たらし(←ヤケ)の俺でもイヤだ。
…どうすっかな……。
そうだ!久しぶりに雫石神社に行ってみるかっ!!
あそこなら涼しいし、人気も少ないから楽だ。
そう思うと足が軽くなったような気がした。
「にしてもホント久しぶりだなぁ……。」
何年ぶりだ?
記憶を辿り、指で数えていく。
「……7年ぶりか…。」
時が過ぎるのは早いと、いつも思う。
あっという間すぎて、追いつかない時だってある。
そんな時、すごく寂しくて虚しくなるのは俺だけなのかな…。
考え事をしているせいで陽太朗の歩調が早くなっていく。
気づけばもうすぐで神社だ。
―…と、雨が降ってきた。
「えっ!?まじかよっ!!」
急いで苔蒸した石段を駆け上がり、境内まで走る。
朱塗りの鳥居が見えた。
「―…はぁ……ここまで来れば安全だ…。」
小さいながらも屋根のある古びた祠の所まで行き、少し濡れてしまった赤銅色の髪の毛を掻き上げる。