太陽の宝石
―カサっ。

「―……えっ!?」

その時、木の葉が突然揺れたので驚き振り向くと、すぐ後ろに1人の少女がいた。


「………!」
向こうも驚いているのか、立ち尽くしている。





(……うわぁー…可愛い…。)

見た目からして、15歳ぐらいだろうか。
肩にかかるか、かからないかくらいの艶やかな黒髪。

色白で卵形の形のいい輪郭。
すっと通った鼻筋。
唇はほんのり赤く、薄く伸びている。
そして何より、どこか憂い気で見つめていると吸い込まれそうな澄んだ瞳が印象的だ。




―ザアァ……―

見つめ合ったまま立ち尽くす2人。




気のせいだろうか、少女が現れてから雨が激しくなってきた気がする。





「……あー…こんにちは…。」

長い沈黙に耐えかねて、陽太朗が先に口を開いた。



「…………。」

すると少女は戸惑いながらも、ぺこりと頭を下げた。




と、陽太朗はその肩が雨で濡れていることに気づいた。




「こっちに来なよ。そこじゃ濡れるだろ?」

と言うと、少女は一瞬ためらったが大人しく屋根の下に入ってきた。



少し狭いが、大丈夫そうなのを確認すると少女に話し掛ける。

「俺さ、久しぶりにこの神社に来たんだ。キミはここにはよく来るの?」

「……っ………。」

少女は答えようとしたが何故か途中で、ハッとした顔になりもどかしげにしていたが断念し、そのかわりに小さくこくんと頷いた。



「へぇ〜……。それなら俺、毎日ここに来ようかな。」
チラッと少女の方を見やりながら言う。

少女はきょとん、とした顔で陽太朗を見上げた。



(うっ…可愛い……。)





しかしここで打ちのめされる俺じゃあない。





「そうしたらまたキミに会えるなって思ってさ。それに俺、いつもする事ないし。」




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