記憶の扉
記憶
そこは彫刻が点在する岬の上の公園だった。
ラッパ型のスピーカーが安っぽい音でムソルグスキーの「展覧会の絵」を演奏している。
海を渡ってくる風が気持ちいい。
海は藍く、空は例えようもなく青い。
ずっと探してきた空の色はこの青だったんだと、客観的に見ているわたしがいた。
自然に涙があふれてきた。
「悦ちゃん」
振り向くと芝生の上に足を投げ出し、小さく手を振るお母さんがいた。
幼いわたしはお母さんに駆け寄り、思い切り飛びついた。
「おかあさん」