恋の魔法のかけ方
「どうした?」
晃さんが、ふと私に聞いた。
道具を片付けながら、気が付いたのかな。私が鏡の前で止まっている事に・・・。
「うん。なんでもないデス。」
「そう!」
優しく微笑んだように、晃さんの声がした。
「時間・・・まだあるの?」
そう言うと、私の返事を聞かずに奥のキッチンへと晃さんは、消えた。
『どうして、そう思ったんだろう・・・私。晃さんのことが、知りたい・・・だなんて』
消えた晃さんを追うように私は、席を立った。
が、奥からカップを2つ持ち、晃さんがやってきた。
「時間無かった?」
真っ黒いコーヒーと、見るからに甘そうな色したコーヒー。
「ううん。大丈夫です。」
「じゃあ~。はい!」
私に手渡さられた方は、勿論いつものコーヒー色をしてた。
「晃さん?!」
向かい合い座るテーブルで、私が先に切り出した。
私の目の前に座る人は、額に手を当てひじを突き考え込む様なポーズから上目遣いで私を見ている。
帽子を脱ぎペタンコになった髪をかきあげる。
「・・・どうしたの?」
「いや・・・今日の晃さん、いつもと違うな~って、改めて思って・・・。」
「そう?カンナちゃんだって、いつもと違うよ~。」
満足げな笑みで、そう言われ褒められた気がして、すごく恥ずかしかった。
「コレなら、今井君好みの子!!だよね」
大人っぽく仕上がった私。
でも・・・コレで良いのかな?