恋の魔法のかけ方
初めての顔
「マジ!マジで、ワンコの従姉妹?!」
今井君は、目を丸くして驚いてた。
リハーサルを終えたライブハウス前。
携帯で教えてもらった今井君の番号を初めてかけた。
「カンナ・・・用事が出来ちゃったらしくて・・・。」
初めてかけた電話で、初めてついた今井君への嘘。
「でも。まさか~こんな子を紹介してもらえるなんて、俺ってラッキーだよ。正直、ワンコには、あまり期待してなかったんだけどね~」
『私には、期待してなかった?』
その言葉に、胸が痛かった。
にやけた笑い顔で今井君は、ジロジロと私を見る。
その目と合って、私から目をそらした。
『気付かれたらどうしよう~。』
でも、そんな私の考えとは、違って今井君は、初対面のような顔を作っていった。
「あっ。自己紹介だね。俺。今井光、高3って・・・ワンコから聞いてるか!で、君は?」
「私・・・。氷室ハナ、高3です。」
頭を深々と下げると今井君は、声を出して笑った。
「そんなに、硬くならなくっても良いよ~。同じ年だし、ワンコの紹介されたもん同士~!!」
そう言って私に笑いかけた。
今井君は、いつもこんな感じだ。
誰とでも、すぐ友達になれる術を知ってて・・・いつも笑ってくれる。
それが、すごく好き。
でも、今日は・・・・私は、氷室カンナじゃなくて、ハナなんだよね。
今の笑顔も、カンナじゃなくハナの私にくれた笑顔なんだよね。