恋の魔法のかけ方
「まったく・・・カンナには、まいったよ~」
明日香が、先ほどの出来事を晃さんに愚痴った。
「それは、災難だったね~」
メガネにスーツ姿の晃さんは、優しく微笑みながら私達の前にコーヒーを出してくれた。
明日香は、少し茶色でストレートの長い髪をさっと束ねて、カップに手をかける。
その行動があまりにも堂に入っていて私は、明日香に見とれていた。
いいな~明日香・・・。
ウチの学校は、校則厳しいからメイクなんて出来ないんだけど、もとが綺麗な明日香の顔立ち。
こんな、何でもないしぐさも私は、羨ましく思う。
だって見るからに、『女性の大人』っていう雰囲気なんだもん。
長身で、手足長くて~。
制服着てなかったら、『この店の店員です!』って言っても、おかしくないくらい。
それに引き換え私は・・・・・。
背も低くってサラサラヘアーになりたくても無理な頑固な天然パーマ。
そんな髪に何度悩まされ恨んだことか・・・。
毎朝格闘しその髪を高い位置で二つ結び。これは、出来るだけコンプレックスの身長をごまかす為なんだけど・・・それが、まずかった?!
中学生にに間違われるほどの童顔の私についたあだ名が『ワンコ』。
これは、友達からそう呼ばれ出して『やっぱり?』って思ったほど。
正しくたれ耳ワンコ。
「ハー」
明日香が羨ましすぎて、ため息が出る。
こんな対照的な二人が、学校でもつるんでいる。
で、『明日香ネーとワンコ』なんて言う人もいる。
でもね・・・。
以外にも私と明日香は、気が合うのよ。
それがちょっと私は、嬉しい。
私は、晃さんが入れてくれたコーヒーを一口飲んだ。
うん!!
甘くて私好みの美味しさ!!
学校帰りの美味しいコーヒーが私達の最近の定番。
そんな時、晃さんの店の扉が開いた。
「ああ~また明日香ネーとワンコに先越されてるよ・・・・」
その声と同時にがやがやと詰襟の制服を着た男子が4人入ってきた。