恋の魔法のかけ方

コーヒーを出され、しばらくして飲み干したカップを持ち立ち上がったのは、晃さんだった。


「コーヒー飲んで、落ち着いたら準備して行くと良いよ!最初っから印象悪いとさすがにネ・・・。」


そう言って優しく微笑みかけられて私は、コクリと頷いた。

「ああ~カップもそのままで良いから~。私は、コレ。」

晃さんは、右手に持ったタバコを後ろの私に見えるように、軽く振った。

「でも・・・。」

「楽しんでおいで!」

席を立とうとする私を止めるかのように言うと、振り向きもせずに行ってしまった。

重たい扉が、バタンと鳴った。



楽しんでおいで・・・・その言葉は、すごく優しい声だったけど、私には、力なく聞こえて寂しかった。

どんな顔して、言ってくれたの?晃さん・・・・。

いつもみたいに微笑んでくれてたの・・・?

それとも無邪気な笑顔だったの・・・?

         それとも・・・・・。
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