恋の魔法のかけ方
何組かのバンドが演奏し始めた。
コピーバンドらしく、その曲には、聞き覚えがある。
1時間ほど過ぎた頃、ハウス内がワーッと騒ぎたった。
今まで、私のように後ろで聞いていた人達もステージに向かった行った。
『何?!』
私は、その光景を同じ場所で見つめてた。
でもその理由が、すぐにわかった。
だって・・・・。
「こんばんわ~アスキッドです。今日は、最後まで楽しんで下さい。」
スポットライトに照らされてステージ上に現れた人は、そう言ってマイクを手に持ち歌い出した。
それと同時に、割れんばかりの客席の声。
照らされたその人物は、それが当然のような顔で歌う。
コレが・・・今井君?
激しく鳴る演奏に、地響きのように床も揺れる。
みんなは、コレを待ってたんだ・・・・。
私は、圧倒され後ろの壁にもたれ掛かった。
みんな今井君を見て、彼の曲を聴いてる。
ライトは、今までと一緒のはずなのに今井君は、光って見えた。
キラキラ光って、まぶしくて・・・・。
憧れの存在のように、観客が見つめる。
今までと、なんら変わらない顔つきでステージに上がってきたのに、歌い出すと・・・。
こんなの・・・ナシだよ・・・今井君。