恋の魔法のかけ方


ライブが終って、私の携帯が鳴った。

『すぐ近くに、公園あるんだけどそこで待っててくれないか?』と、演奏を終えて裏に消えたかと思うとすぐの電話だった。


私は、さっき見つけた公園だと、すぐに解って『ウン』と返事した。

でも・・・。

小さな公園。

木製のベンチで、今井君を待った。

あんなに人気あるんだ・・・。

ふと、コンビニで見かけた女の子達の会話やライブの時の今井君を見つめる人達の姿を思い出していた。


私、一人だけじゃなかったんだ。今井君を見てたのって・・・。

月明かりの灯る公園。


すると、人の気配がした。

「あれ~。1人なの?」

その声は、さっきライブハウスの入り口でチケットを渡した人だった。

「な~んだ。アンタも、『アスキッド』目当てで来たのかと思ったのに~違うんだ~。」


そう言いながらにやけ顔で、私に近付いてきた。

「?」

私が、首を傾げるとその人は、私の横に座ってきた。

「イヤ~今日の、女の子達って『アスキッド』ファンだとばかり思ったからさ!!」

「そうなんですか?」

「そうに決まってるさ!今頃、あいつら、女の子連れて打上げにでも行ってるんじゃないかな~。」


長髪のその人は、意味ありげな、にやけ顔で私に言って来た。

「『アスキッド』目的で来たんじゃないなら~今から時間あるんじゃないの?」

そう言うと、私の腕を掴んだ。

とっさに私は、腕を振り払おうとした。

それと同時にググッと力強く摑まれた私の腕。

「私・・・人と待ち合わせしてるので!!」








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