恋の魔法のかけ方

小さな公園に2人きりになった。

長髪の人は、今井君だと気付くとすぐに走って行った。




「腕、痛くない?」

私は、小さく首を横に振った。

「アイツ!俺だと知ってビックリしてたよな~オモシレ~。」

今井君は、そう言ってケタケタと笑う。

でも、私は、何も言わなかった。

何も言えなかった。


あの時腕を摑まれて、すごく怖かった。

知らない人が、ニタニタ笑って近付いてきて・・・・。


「ゴメン・・・俺が悪いんだよな・・・ハナをこんなトコで待たせたりしたから・・・。」


黙り込んだ私に今井君は、そう言って尻尾を丸めた子犬のような表情をした。


街灯が灯るこの公園。

ひっそりとして静かで、二人で居るはずなのにお互い言葉が出なかった。

何を話したら良いんだろう・・・こんな時。


「こんなに、待たせるつもり無かったんだ、俺。言い訳みたいに、聞こえるかも知れないけど・・・・マジで俺、ハナんトコ走って行くつもりだったんだ・・・。でも。」


「でも?」

「いや・・・ホント、ゴメン。」

「もう良いよ。そんなに誤らなくっても。」

「マジで、ゴメン。初めて合った日が、こんなんで・・・。」

「良いって・・・もう。」


何度も『ゴメン』って言われたら私・・・。






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