恋の魔法のかけ方
『普段通りの服』なんて言われても、一様自分の中でおしゃれした格好で店の前に来たのに・・・。
『ああ~。冗談だったのかな~。そうだとすると晃さんって、すごく意地悪。イヤ・・・最低の人だよ!!』
そんな言葉が、グルグルと頭の中を回っていた。
私は、シャッターの前に座り込んだと同時にカバンの中の携帯電話が鳴った。
「カンナちゃん!?いまどこ?」
それは、晃さんの声だった。
私の中では、『晃さんは、意地悪な人!!』ってなっていて思わず言ってしまった。
「もう~。ちゃんと店の前に居るのに、店は、開いてないし!晃さん、私をからかったりしないでよ!!バカ。」
私は、晃さんに言うだけ言って、携帯電話を自分から切った。
『ああ~コレから、どうしよう・・・・。』
座り込んだ店の前。
シャッターに背中を傾けると『グシャン』と、音が響いた。
『からかうならもっとまともなからかい方があっただろうに・・・。』
見上げる日曜日の午後の日差し。
少し暖かくって、眩しい。
しばらくして私の後ろで音がした。
そして、私の背もたれと、なっていたシャッターがググッと動き出した。
私は、思いっきり尻餅をついた。
「誰が、バカだって!?」
空を見上げてた状態で尻餅をついて・・・。
空の変わりにその声の主を見上げる事となってしまった。
でも、その声には、聞き覚えがある。
『晃さん・・・?』
明るい光に照らされながらその人物が見えた・・・けど。
目鼻立ちの整った顔に、深くかぶられた帽子。赤いシャツが胸元から見えるチェックのシャツ。
「ずいぶん待った!?」
優しいその声は、晃さんだった。
でも、そこに居るのは、私の見た事のない人だった。