サンタクロースに恋をする
『おじいさんの服なんです。僕のは間に合わなくて。』


今にも泣き出しそうにロイは言った。


『動きにくそうだね? 他の服にしたら? 』


『駄目ですよ...普通の服じゃ。もし子供達に見られたら夢が壊れます。』


『じゃぁ。針と糸ある? 今よりましには出来るよ? 』

『すいません。』


あたしは顔半分隠してる帽子を上に持ち上げた。


上気した頬を両手で挟む。


『すいません...はもうなしで。』


ロイがゆっくり瞳を閉じた。


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