世にもつまらぬ恋愛話

「おい香苗、待てよ!」
「待たない」
「待てったら」

店の外で、幹也が私の腕を掴んで引き止めた。

「俺が悪かったって」
「別に悪いわ……」

振り返りざま、幹也は私の唇にキスをした。

って、あれ?

何故そうなる?!

「んっ」
「…これで満足ッスか?香苗お嬢様。」
「そ、そういう意味じゃないんだけどね…」

私は溜息をつきながら髪の毛をかきあげる。

「俺はお前が好きだ。だから、お前の喜ぶ事したいし、お前の嫌がる事はしたくない」
「あ、…う、嬉しいんだけど…なんだけど…」

私は周りをキョロキョロ見回した。
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