世にもつまらぬ恋愛話
「…で、何で全部断ってんだ?」
「私、好きな人、いるの。中学校から」
「ほぉ」
中学って事は野村辺りかな。
結構女子に人気あったみたいだし。
「その人に告白するまでは、絶対他の人と付き合わないって決めてるんだ」
「へぇ。ならさっさとソイツに告っちゃえよ」
「無理無理(笑)だって、学校別だしなかなか会う機会無いんだもん」
「そりゃ残念。でも早くしないとソイツ、遠くに行っちまうんじゃねぇの?」
春日野はクスリと笑う。
それこそ無邪気な笑みで。
「大丈夫。高校3年終わるまでには決着つけるつもりだから」
ガッツポーズをする春日野を見ると、なんとなく安心感はある。
「あ、ゴメンそろそろ電車の時間が…」
腕時計と駅を交互に見ながら足踏みしだす春日野。
「お~、急げ急げ~」
「その前にメルアド交換してくれない?」
「ん、いいぜ」
俺はポケットから携帯電話を取り出すと、春日野の携帯電話と向かい合わせる。
「じゃ、メール送るね」
「あぁ。じゃな~」
「うん」
「告白頑張れよ~」
「あ、うん…」
「鈍感なのは変わらないんだね…」