パノと魔法使いとその仲間
車が激しく水しぶきを上げて通り過ぎると、水の塊が勢いよく箱を叩いた。
その拍子に箱が転がると、中のパノとライスシャワーは雨に打たれるコンクリートへと投げ出された。
(水だね……あの時の水はキラキラしてたのにね)
闇から突き刺さるように降り注ぐ雨は、小さなぬいぐるみを容赦なくつらぬいてゆく。
(もう、ホントに忘れちゃったのかな……僕のこと)
もしこのとき、パノがぬいぐるみでなければ大粒の涙を流していたかも知れない。でもそれすらパノには許されなかった。
じっとりと重くなってゆく感覚の中で、パノはかすかに唸るようなエンジン音を聞く。
「ほーい!」
遠く道の先にライトが光っている。そして次々と男の掛け声が上がっていた。
「ほーい!」
トラックの後ろに乗った男が飛び降り、集積所のゴミを次々と集めている。やがてその集積所をあとにすると、パノたちのほうへ近づいてきた。
もうパノにはそれをぼんやりと見ているしかない。
近づいてくるトラックがその動きを止めた。パノたちが居る集積所からひとつ離れたところだ。
矢継ぎ早にトラックに放り込まれてゆくゴミ。それは見る間にいままで山と積まれていた場所を空にしてしまう。
「ほーい!」
後部に飛び乗った男が声を上げると、運転手がアクセルを踏む。そしていったん動きを止めたタイヤがゆっくりと転がり始めた。
そのライトがパノたちを照らす。
重たいディーゼル音がコンクリートに響いて、ようやくパノは少しだけ意識を取り戻した。
(なんだろう……)
その拍子に箱が転がると、中のパノとライスシャワーは雨に打たれるコンクリートへと投げ出された。
(水だね……あの時の水はキラキラしてたのにね)
闇から突き刺さるように降り注ぐ雨は、小さなぬいぐるみを容赦なくつらぬいてゆく。
(もう、ホントに忘れちゃったのかな……僕のこと)
もしこのとき、パノがぬいぐるみでなければ大粒の涙を流していたかも知れない。でもそれすらパノには許されなかった。
じっとりと重くなってゆく感覚の中で、パノはかすかに唸るようなエンジン音を聞く。
「ほーい!」
遠く道の先にライトが光っている。そして次々と男の掛け声が上がっていた。
「ほーい!」
トラックの後ろに乗った男が飛び降り、集積所のゴミを次々と集めている。やがてその集積所をあとにすると、パノたちのほうへ近づいてきた。
もうパノにはそれをぼんやりと見ているしかない。
近づいてくるトラックがその動きを止めた。パノたちが居る集積所からひとつ離れたところだ。
矢継ぎ早にトラックに放り込まれてゆくゴミ。それは見る間にいままで山と積まれていた場所を空にしてしまう。
「ほーい!」
後部に飛び乗った男が声を上げると、運転手がアクセルを踏む。そしていったん動きを止めたタイヤがゆっくりと転がり始めた。
そのライトがパノたちを照らす。
重たいディーゼル音がコンクリートに響いて、ようやくパノは少しだけ意識を取り戻した。
(なんだろう……)