パノと魔法使いとその仲間
(どういうこと?)

「君が自分で探さなくちゃならないってこと」

そこでパノは声を落として言った。

(僕はぬいぐるみだから……探せないよ)


その落胆した声を聞いた女性は、ショルダーバッグから一本の棒を取り出した。

そんなに長いものじゃない。鈍く光る銀の棒には、かろうじて文字と思われるような細かい文様が刻まれていて、その先には大きな水晶がはめ込まれていた。

「だから特別に魔法をかけてあげるって言ってるの」

(え?)

驚くパノをよそに、女性は目をつぶって小さく呪文を唱える。

「ウーリ・ト・ナーテュ・ヤスー……ミー」

ゆらりと水晶が光を宿し、そしてそれが突然パノの体に乗り移る。一瞬目の前が真っ白になったパノだったが、やがて収まると女性に向き直った。

「びっくりした~!」

それを聞いた女性はくすっと笑って見せる。

「これが魔法な……うわああ! 僕しゃべってる?」

「うん、ちゃんとしゃべってるわよ」

「ええ? え? え?」

パノの目に自分の右手が映りこむ。

はっと左に目線をやると、視界がさっと動いた。そこには動いている自分の左手があった。

「僕……動いてるよ」

体を起こして両手を目の前にかざすと、今度は足をポンポンと動かしてみせる。

「動けるよ! 僕、動けるよ」

「よかった?」

「うん、ありがとう! えっと……」

「わたしはクロ。あっちはマイケル。君の名前はパノくんね、夢でそう呼ばれてた」

「ありがとう、クロ♪」

「いえいえ、どういたしまして」

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