パノと魔法使いとその仲間
そんな二人にクロが「さて」と声を掛けた。

「おチビさんたち、これからアヤさんを見つけなきゃならないんでしょうけど、行き先は分かるの?」

「えっとお~……」

「パノくんの夢から判断すると、アヤさんは引越しちゃったみたいだよ。でも行き先までは分からないわね」

パノは先日の記憶を辿った。


物音、話し声、箱が何度も揺れたこと。でもその中に手がかりになるようなことが浮かんでこない。

腕を組んでしばらく考えこんだ。

「米子って言ってたの~」

「米子?」

その記憶にたどり着いたのはライスシャワーのほうだった。

「たしか男の人の声でそう言ってたのを聞いたの~」

「そうだよ、確か米子って言ってたね」

「米子かあ……ちょっと遠いわね」

重い口調でそう言うと、クロは考え込むように瞳を上げて口を結んだ。


「歩いて行くにはちょっと遠いし、かと言って……」

クロは放浪しながら占いで生計を立てている。その日その日の金銭しか持たず、当然パノたちと一緒にバスや電車などに乗るお金などあるわけがない。

「わたしも貧乏なんだよねえ」

ため息まじりに呟くと、ほとほと困り果てたように川の流れに視線を落とした。

不意に頭上から車の通る音が響き、そのあまりの轟音に思わず耳を塞ぐ。どうやら大型トラックが橋を通過したようだ。

迷惑そうな視線を向けたクロだったが、はっと気がついて手を打つ。

「そうだ、いい方法があったわ」


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