カクテル 〜カシス〜
「なにか飲むか?」


緊張で口が乾いていた。圭さん冷蔵庫からビールを持ってきてくれた。



「えっ!?飲んだら帰れなくなるんだけど?」


「泊まってけば?」



−当たり前のように言ってるけど、なに言ってんの?−



「いやいや、泊まりはマズいよ…美恵さんにバレたらヤバいって!」




部屋の所々には美恵さんのものらしき女性雑誌やピアスが置いてあった。


この部屋には美恵さんの微かなニオイも残っている…


「大丈夫や!美恵は夜勤で今日は来んし!」




−そんな問題なのか?−



と疑問に思いながらも私は喉の乾きに負けてしまった。
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