寮生活は秘密がいっぱい☆
こうして、香希と距離を置いたまま、日曜日になった。

そう、今日は文化祭当日ー。



朝早く起きて、寮のご飯を作っていると…。


トントントン。


誰か起きてきたようだ。階段から降りてくる音がした。



「…おはよう。」


香希だった。



「…おはよう。」

あたしは目を合わせずあいさつをした。


「あら、香希、早いねー。」


ママが話かけると、香希は何も変わらない様子で話始めた。


「今日は文化祭だろー?俺、行事のある日って早く目覚めちゃうんだよなー。」

「香希は子供だねー。」

ママと香希は楽しそうに会話している。


いつもならあたしも話に入っているのに…。

何だか淋しくなった。




「おはよう」


「あら、拓海も早いねー。今日は部活も休みでしょ?」


ママは早く起きてきた拓海に不思議そうな顔をして聞いた。


すると拓海は…


「今日、未有の文化祭行くからな。楽しみにしてるよ、未有のウエイトレス姿♪」



香希の前で、わざと言ってるのか、やけに大きな声に感じた。



おもしろくない顔をした香希は、

「俺、もう行くよ。」


そう言って食堂を出た。


「ちょ…!ちょっと!香希ご飯は!?」


あたしは慌てて追いかけた。


「…いらねー。何か食欲ないし。俺の分、雄司に食べてもらって。」



そう言って、玄関のドアが閉まった。



…拒絶された気分。


今日は楽しい文化祭のはずなのに…、あたしは心から楽しめそうにはなかった。
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