好きなんだ
あいつは柚が小さい時から 


それより前からかもしれない 



男付き合いが激しかった 



お父さんが出張の時、必ず男が家にいた 


いつも違う男 



ときには暴力を振るやつもいた 


体を触るやつもいた 



気持ち悪くて 



怖くて 



一人ではいられなかった 



その時いつも兄が傍にいてくれた 


震える体 


兄のあの温かい手が頭をなでるだけで 


震えが止まった 


兄の存在は柚にとってかけがえのないものだったんだ
< 19 / 30 >

この作品をシェア

pagetop