初恋【短】
晃平が居る。
ただそれだけが嬉しかった。
あたしはずっと笑顔で居たと思う。
・・・でも。
それと裏腹に、不安がどんどん降り積もっていく。
だって話すことも、行く場所も、全部全部1週間前と同じなんだ。
だめ。
このままじゃ、あの事故がまた起きてしまう・・・
「・・・あ、信号点滅してる。急ごう、走るぞ!」
「・・・っ晃平!やだ、だめっ!!」
いきなり叫んだあたしに、驚いて晃平は道路の途中で立ち止まった。
「・・・葵?」
「あ・・・こうへ・・・・」
晃平、そう言おうとした瞬間だった。
・・・あのときと同じ車が、信号無視をしてこっちに突っ込んできた。
―「・・・あおいッ!!」
運命を変えるなんて、あたしには出来なかった。